2009/07/13

「嫌い」 の中には、自分がいる

"「嫌い」 の中には、自分がいる "

本日のNHKの「ようこそ先輩」という番組(下記リンク参照)で、森達也氏---今日初めてその名を知りましたが---が、伏木中学の3年生に教えようとしたことです。

視点が変われば世界が変わる

森氏は、オウム真理教の中に入って取材を行い、それを独自の視点でまとめた映画「A」を自主制作した人として紹介され、小学校4年から中学1年まで、伏木にいたそうです。

あなたの嫌いなものはなんですか、と問われた生徒は、学校、勉強、数学、先生、自分の髪の毛、...嫌いなものはない....などと様々な反応を示します。
ものごとには多面性があり、自分の見ているものは全体の一部かもしれないから、もっとよく見るために、次のようなことを行ってください。

  1. 嫌いなものから目をそむけるのではなく、よく見てみる
  2. 嫌いな理由を明確にする
  3. 嫌いな対象の側に身をおいてみる
  4. 人の意見を聞いてみる


と言われた生徒たちは早速嫌いなものに立ち向かいます。英語の先生が嫌いと答えた生徒は、開き直って嫌いな英語の女先生のもとへ...

そして、率直に「僕は先生が嫌いなんだけど...」といって対話を開始、やがて、先生はt宿題を出すだけの楽な仕事をしているのではないということや、授業中にチョークが飛ぶのは、生徒とその場で勝負するという先生の真剣な気持ちの表れ(と先生が考えている)ということや、先生が自分のことを沢山知っていることなどを発見します。

「自分の髪の毛が嫌い。洗ったり手入れが面倒だから坊主頭にしたい、」といっていた男の子、「じゃ坊主頭にすればいいじゃない」といわれても、「う~ん、できない。お母さんに相談しないと....」と。
テレビは、その子とお母さんの対話の様子を放映。「放送のための会話だったから今日はお母さんは、いつもよりやさしく聞いてはくれたが、普段はお母さんが強いので反論できなくなってしまう。」という生徒。自分のヘヤースタイルが嫌いなのは、それが母親の強制というもののシンボルであったからのようなのです。

嫌いなものに取り組み、嫌いな理由を考え、いいところがないかを考えるというプロセスをを経て、答えがひとつしかないので数学が嫌いで美術が好きといっていた女子生徒は、美術の中にも数学の要素が入っていることが分かり、見方が変わった、と。

森先生は、さらに次のような宿題を出し、提出されたものを評価すると言います。

  1. 嫌いなものに向かい合い、なぜそれが嫌いなのかを分析する
  2. それが嫌いな理由を突き止める
  3. 上記を行った後で、自分の気持ちがどう変化したかを書く

生徒が改めて自分の嫌いなものに取り組み、全員がレポートを提出しました。
森先生いわく:


嫌いなものの中に、自分がいる。
嫌いなものに立ち向かって、上記のステップ1.2.を行い、確かに視点は変わったであろうが、ステップ3で、これまで大嫌いだったものが好きになるようなことは、考えられない。
だから評価はしない。ステップ1.2.を繰り返し行うことが重要なので、これを繰り返してください。

さてと、私には、今、その中に自分がいるような嫌いなもの、はありません。
そうでない嫌いなものは、思い出したくもないので、やっぱりないようです。

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